犬の副腎皮質機能亢進症




犬の副腎皮質機能亢進症の概要

内分泌疾患とよばれるホルモンの異常による病気です。
体内にある様々なホルモンを作る臓器の内、副腎と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンが過剰になることで起きることがわかっています。

副腎とは

腎臓の頭側にある太さ5mmほどの小さな臓器です。副腎は大きく皮質(外側)と髄質(内側)に分けられ、それぞれの部位で様々なホルモンを分泌しています(その数は数十種類とも言われています)。中でも主要なホルモンは皮質から分泌される糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドです。
糖質コルチコイドはその名の通り血糖値を上げる作用のほか、体内の炎症を抑える抗炎症作用を持っています。そして、鉱質コルチコイドは体の中のミネラルバランスを調節する働きがあります。
これらのホルモンは必要なときに必要なだけ分泌されるように、体内での調節機構が働いていることがわかっています。
糖質コルチコイドは、脳にある下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモンによって分泌が促進されます。そして、血中を流れる糖質コルチコイドが下垂体からの副腎刺激ホルモンの分泌を抑えることで、糖質コルチコイドの体内濃度は一定に保たれています。

犬の副腎皮質機能亢進症の特徴

好発犬種:プードルやダックスフンド、ビーグルなど
年齢:中・高年齢以上(8歳〜)が多い

犬の副腎皮質機能亢進症の原因

副腎皮質機能亢進症の原因は2つに分けられ、
一つは下垂体に異常があって大量の副腎皮質刺激ホルモンが分泌される場合
もう一つは副腎自体に異常があって大量の副腎皮質刺激ホルモンが分泌される場合です。
この2つの内、1つ目の下垂体に異常がある場合が副腎皮質機能亢進症の原因の8-90%を占めると言われています。

犬の副腎皮質機能亢進症の症状

様々な症状が認められます。頻度が高い順に書くと下に書いているような順になります。

  • 多飲多尿

ホルモンの影響でおしっこがたくさん出てしまい、その水分を補うためにたくさんお水を飲んでいる状態です。
量としては、おしっこは50ml/kg/日、飲む水の量としては100ml/kg/日以上の場合と言われています。これは、例えば3kgのトイプードルのワンちゃんだと1日に500mlペットボトルの半分以上を余裕で飲んでいる場合には注意が必要と言えるくらいです。

  • 多食

症状というより健康な証拠だと勘違いされる事が多いのですが、今までしなかった盗み食いをしたりやゴミを漁ったりすることもあります。

  • 腹囲膨満

ゆっくり進行するため気づきにくいのですが、俗にいう「太鼓腹」の状態になります。

  • 筋力低下

四肢の筋肉、背中、顔の筋肉などが減少し、特に四肢では肢が細くなった様に見えます。

  • 脱毛、皮膚の菲薄化

見た目で飼い主の方が最も気づきやすい症状です。
脱毛は体幹で見られることが多く、左右対称性に起こることが特徴です。また、かゆみは無く、徐々に細い艶の無い毛になっていってしまいます。
皮膚の菲薄化というとわかりにくいと思いますが、皮下の血管が異常に見えてきたり、皮膚の弾力がなくなることで皮膚をつまむと元に戻りにくくなる状態です。

犬の副腎皮質機能亢進症の検査

症状からクッシング症候群を疑うことが多いです。
検査としては、血液検査、ホルモンの濃度を測る特殊な検査、超音波検査が行われます。
また、下垂体の異常が疑われる場合は、CTやMRI検査を行う場合もあります。

犬の副腎皮質機能亢進症の治療

原因が下垂体に異常があるのか、副腎に異常があるのかだけでなく、わんちゃんごとに治療法が異なる場合があります。(基本的な治療法を記載していますが、詳細は獣医さんと相談してください。)

下垂体に異常がある場合は、下垂体自身への治療は放射線治療など特殊な機械を使う方法がありますが、費用面・施設が少ないことなどから困難です。
そのため、副腎からのホルモンの産生を抑えるお薬を使います。このお薬は基本的に一生飲むことになってしまう薬ですが、まれに中止できることもあります。

副腎に異常がある場合、主に片方の副腎だけ異常に大きくなっているので、その副腎を摘出する手術が選択されます。ただ、手術が難しい場合は下垂体の場合と同様にお薬を使うだけの時もあります。




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