(多中心型)リンパ腫




はじめに

わんちゃんのリンパ腫という病気を聞いたことがある飼い主様も多いのでは無いでしょうか。
リンパ腫とは、リンパ球と呼ばれる血液中の細胞ががん化してしまっている状態です。
リンパ球は細菌やウイルスなどを排除するために働く免疫作用を担っている細胞ですが、この細胞が何らかの原因でがん細胞となり無秩序に増えるようになってしまうと、リンパ腫と呼ばれます。
このリンパ腫はわんちゃんのがんの内、2割を占めるとも言われており、最も多いがんです。
このリンパ腫の特徴は体のほとんどどこにでも出来てしまうことです。

リンパ腫の分類

体のどこにできるかによって、
多中心型、消化器型、皮膚型などに分類されます。
中でも多中心型と呼ばれるリンパ腫がリンパ腫全体の半数を占め、最も多いです。
今回は、この多中心型リンパ腫についてのお話です。

多中心型リンパ腫とは

全身の体表リンパ節が1つ以上腫大している状態のことを言います。
体表リンパ節とは、わんちゃんの体の表面にあって、触ることができるリンパ節のことです。
顎の下、首、脇、股、膝の左右両側にあり普段は意識しないと触れません。しかし、リンパ腫になると例えばブラッシングしてあげているときやトリミングしてもらっている時などに、「何かコロコロしたものが触れる」と気づかれることが多いです。

多中心型リンパ腫が好発する犬種

どの犬種でも発生することが知られています。

多中心型リンパ腫の症状

あまりご飯を食べなくなったり、散歩に行きたがらないなど元気が無くなることもあります。
しかし、多くの場合見た目は健康なままです。
なので、リンパ節が腫れているかも、と思った時には近くの獣医さんに見てもらうことをおすすめします。

多中心型リンパ腫の診断

動物病院に連れて行くと、腫大しているリンパ節に細い針を指す検査(FNB検査)が行われます。
この検査でそのリンパ節にがんの細胞がいるのか、正常なリンパ球がいるのかがある程度わかります。
この検査で診断がつかなかった場合は、遺伝子検査やより太い針を用いた検査、時にはリンパ節を摘出する検査などが必要になります。

多中心型リンパ腫の治療

腫大してしまったリンパ節をとってもその後長生き出来る訳はない、ということがわかっているので、ヒトでも使うことがある抗がん剤を用いた治療もしくは放射線による治療が必要です。
※人との違い
・腫瘍細胞を完全に破壊するための治療というより、わんちゃんが元気に過ごすことができる時間を伸ばす治療です。
・吐いたり、下痢をしてしまうことがあります。その時には抗がん剤の量を減らすなど獣医さんと相談してみて下さい。
・人ほど脱毛が目立つことはありません。 ただ、トイプードルなど犬種によっては脱毛が目立ってしまうことがあります。基本的には抗がん剤をやめれば戻りますが、毛が生えてこないときもあります。
※抗がん剤治療の種類
様々な抗がん剤を使う方法が考案されていて、現在日本で最も一般的とされているものは、最初2ヶ月ほどは週に1回の通院、それ以降は2週間に1回の通院に切り替わるタイプです。
ただ、これ以外にも通院期間を伸ばしたタイプや、短期間で治療する方法もあるので、獣医さんに聞いてみて下さい。

抗がん剤治療によって、多くのわんちゃん(8-9割ほど)はリンパ節の腫大が一旦無くなります。(寛解という。)
しかし、腫瘍細胞が完全に死滅した状態ではないので、やがてまたリンパ節が腫大してしまいます。
その際は、初めに行った治療をもう一度行うか、その治療で効果がない場合はそれまで使っていない抗がん剤を使うことになります。しかし、最初ほど効果が出ず、数ヶ月でわんちゃんが命を落としてしまうことが多いです。

まとめ

このリンパ腫という病気は治療をしても完治することはほとんどありません。
しかし、多くのわんちゃんは治療をしていれば飼い主様と楽しく過ごせる時間ができることも事実です。
もし何の治療もしなかった場合には、わんちゃんは数ヶ月で命を落とすと言われています。
しかし、治療をすることでそれが一年、もしかしたらそれ以上に伸びる可能性があります。
一方で、治療をすることは、わんちゃんはもちろん、飼い主様への負担もかなり大きいです。
もし、ご自分のわんちゃんがリンパ腫と診断された時は、ご家族でしっかりと話あってみてください。




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