犬の悪性黒色腫(メラノーマ)




犬の悪性黒色腫(メラノーマ)の概要

悪性黒色腫は、犬では比較的よくみられる悪性腫瘍で、猫ではまれな悪性腫瘍です。悪性黒色腫が発生する部位として、口腔、爪床、足跡、眼、消化管、皮膚粘膜接合部などが挙げられます。転移する部位は、局所リンパ節、肺、肝臓、髄膜、副腎など様々です。

犬の悪性黒色腫(メラノーマ)の由来

悪性黒色腫は、メラノサイト(メラニン細胞)に由来する腫瘍です。ヒトの皮膚の悪性黒色腫は、紫外線光に繰り返し暴露されることで、細胞に変異が生じ、それが引き金となって発生するといわれています。しかし、犬の場合ではほとんどの犬種が被毛を持っているため、ヒトと比べて紫外線の暴露による悪性黒色腫の発生頻度は少ないと考えられています。

犬の悪性黒色腫(メラノーマ)の病理学

悪性黒色腫は、病理学的に診断することが難しいケースがあります。特に、無色素性の悪性黒色腫は、軟部組織肉腫のような見た目をすることがあり、判断が難しいといわれています。そういった場合には、免疫組織化学染色によって、Melan A、S100、PNL2、Tyrosinaseなどを検出することが有用であるとされています。

犬の悪性黒色腫(メラノーマ)の生物学的挙動

悪性黒色腫の発生部位によって、局所の浸潤性や転移のしやすさが異なるといわれています。粘膜側のマージンに近接しない皮膚の悪性黒色腫は悪性の挙動をとりにくいようです。そのため、外科的に摘出することで良好な予後を期待できることもあるようです。しかし、この際にも病理組織化学検査でマージンおよび細胞学的な特徴を調べることは欠かしてはいけません。一方、口腔内や粘膜に発生する悪性黒色腫は、極めて悪性度が高いといわれており、局所への浸潤度が高く、高率に転移するとされています。指や足蹠に発生する悪性黒色腫は、中程度の悪性度であるといわれています。指の悪性黒色腫に関する犬の研究では、リンパ節転移や遠隔転移がなければ、断指することによって、平均生存期間(MST)が約12カ月、1年生存期間が42-57%、2年生存期間が11-13%であると報告されています。しかし、指に発生した悪性黒色腫における初診時の転移率は30-40%との報告もあります。足蹠に発生する悪性黒色腫の挙動についての報告は少ないようです。

犬の悪性黒色腫(メラノーマ)のステージ分類

犬の悪性黒色腫は以下の表のようにステージ分類されています。

メラノーマのTNM分類

※補足1:外科手術をした犬の口腔内悪性黒色腫の平均生存期間は、ステージⅠで17-18ヶ月、ステージⅡで5-6ヶ月、ステージⅢで3ヶ月(MacEwenらの報告)

※補足2:犬の口腔内悪性黒色腫では、リンパ節腫大が認められた時の約7割でリンパ節転移が認められるが、リンパ節腫大がなくとも約4割は転移している(WilliamとPackerらの報告)

※補足3:口腔内や口唇の悪性黒色腫では転移しやすいため、腹部超音波検査で、腹腔内リンパ節、肝臓、副腎などの臓器への転移の有無を確認することが望ましい。

犬の悪性黒色腫(メラノーマ)の外科治療

犬の悪性黒色腫に対する外科手術は、局所治療においては最も有効で、そのためには早期に腫瘍を発見することが重要となります。口腔内の尾側に発生する悪性黒色腫は、頭側に発生するものよりも大きくなってから見つかることが多いため、完全切除することが難しいといわれています。骨に近接するような歯肉あるいは口腔粘膜に発生した悪性黒色腫は、完全切除のために部分下顎骨切除あるいは上顎骨切除をすることが一般的です。骨浸潤が確認できないからといって、歯肉の腫瘤のみを切り落とすべきではありません。なぜなら、顕微鏡学的病変を残してしまい、局所再発を引き起こしてしまうからです。

 

 

 

 

 

 

 

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