猫同士の対立を防ぐために
猫を多頭飼いしている人は多いと思います。
多頭飼いをしていると猫同士の喧嘩が起こることがありませんか?
ちょっとした小競り合いのことも多いので、あまり困ることがないかもしれません。
しかし、時には大喧嘩となってしまい、猫が怪我をしてしまうことがあります。
猫が喧嘩してしまう理由の一つとして、適切な環境づくりができていない可能性があります。
猫の行動学についての本(Feline Behavioral Health and Welfare)によると、猫同士の調和を保つためには、野生下の環境にできるだけ近づけてあげることが重要であると記載されています。
具体的には、猫の頭数に合うように、ごはん・水、おもちゃ、トイレ、休憩スペースを準備すべきであると述べられています。
ごはんと水の入れ物、おもちゃ、トイレの数は、猫の頭数に応じて増やす必要があります。
猫の休憩スペース(パーソナルスペースの確保)
猫の飼育環境づくりには、休憩スペースを十分に確保することが重要です。
「パーソナルスペース」という言葉を知っている方は多いでしょう。
心理的な縄張りのようなもので、ある一定の距離内に誰かが入ってくると不快な気持ちになりますが、これがパーソナルスペースです。
このパーソナルスペースは、猫でも同様にあると考えられています。
猫同士の喧嘩は、パーソナルスペースの確保が十分にできていないことに起因していることが少なくありません。
特に、あまり広くないお家で多頭飼いをしている場合には、顕著でしょう。
対策の一つには、立体的な休憩スペースを確保することが挙げられます。
猫は、高いところに登ることができますので、立体的な空間づくりをすることで、パーソナルスペースを確保することが可能となります。
あまり持っていない方も多いと思いますが、キャットタワー(英語ではcat tree)が立体的な空間づくりをするうえで、とても役に立ちます。
キャットタワーを使うことで空間を3次元で使うことができるため、猫のパーソナルスペースを十分に確保することができます。
狭い部屋での多頭飼いだとしても、休憩スペースを確保することができ、小競り合いを減らすことができると思います。
キャットタワーに乗っている猫のくつろいでいる姿は、とても可愛いので癒されますよ。
1頭で飼っている場合でも、キャットタワーがあれば、猫の飼育環境はより良いものになります。
ぜひ一度購入を考えてはいかがでしょうか。
お手頃な価格のものもありますし、インテリアとしてのデザイン性が高いものもあります。
一つだけ注意点としては、安定感があって丈夫なものにしておきましょう。
万が一壊れてしまっては、怪我につながってしまいます。
最後に
最後に、猫同士の不必要な喧嘩をなくすためには、飼育環境を整えることが重要です。
ごはん・水、おもちゃ、トイレ、休憩スペースの十分な確保を心がけましょう。
【経歴】
北海道大学獣医学部卒、東京大学獣医外科研究室博士課程
米国ペンシルバニア大学 客員研究員
【所属学会・資格等】
Veterinary Cancer Society (獣医がん学会)
【得意分野】
腫瘍学、免疫学