DHAは、出生期に重要な物質で、神経組織や目の網膜の発生に不可欠な物質です。人の胎児では、妊娠後期に脳や網膜にためられていきます。犬の場合では、生まれてから60日までがその期間に対応するといわれています。犬では、出生前から出生後にかけて、DHAの供給が重要です。
ある研究では、新生仔はミルク中のα-リノレン酸という物質をDHAに変えることができるが、離乳後にその能力が消失あるいは激減すると報告されています。そのため、DHAを供給するためには、DHAそのものをご飯に含むべきであると述べられています。また、DHAを含んだご飯をあげた犬では、DHAを含まずα-リノレン酸だけを含んだご飯をあげた犬よりも、網膜の機能や感受性が高かったという研究も報告されています。さらに、DHAを多く含んだご飯をあげた犬では、DHAが少量含まれているご飯をあげた犬よりも、しつけを学ぶ能力や記憶力が向上したという報告もなされています。
【経歴】
北海道大学獣医学部卒、東京大学獣医外科研究室博士課程
米国ペンシルバニア大学 客員研究員
【所属学会・資格等】
Veterinary Cancer Society (獣医がん学会)
【得意分野】
腫瘍学、免疫学