猫の注射部位肉腫




猫の注射部位肉腫の概要

猫の注射部位肉腫は猫の皮膚がんの1つで、稀ながんです。以前はワクチン接種によって発生すると考えられており、ワクチン関連肉腫とも呼ばれていましたが、ほかの注射製剤でも発生することがわかってきて、現在では注射部位肉腫という呼び方に変わってきています。注射部位肉腫という名前は、獣医さんの間で呼ばれているいわゆる臨床診断名であり、病理組織学的には主に線維肉腫という名前のがんです。しかし、同じ線維肉腫でも注射部位とは関係ない場所にできた線維肉腫と比べると、注射部肉腫は悪性度が高く、全く別のがんであると考えられています。

猫の注射部位肉腫の原因

注射製剤に含まれる物質による炎症反応が原因であると考えられています。

猫の注射部位肉腫の診断

以前注射を打ったと思われる部位からできもの(腫瘤病変)が発生した場合、注射部位肉腫を疑います。針でがん細胞を採取する細胞診検査では、診断が難しいため、がんの一部を採取して行う病理組織検査によって診断します。

注射部位肉腫は非常に浸潤能が高く、タコの足のように広い範囲に浸潤していきます。CT検査は、肉眼や触診ではわからないがんの浸潤を検出することができ、手術計画を立てる上で非常に有用な検査法です。

猫の注射部位肉腫の治療

第一選択は外科手術となります。しかしながら、その浸潤能から取りきれないことが多く、術後再発率は高いことが知られています。取りきれなかった場合は再手術、放射線治療や抗がん剤治療などが選択されます。かかりつけの獣医さんや獣医腫瘍専門医にご相談ください。

最後に

猫の注射部位肉腫は、原因がわかっている数少ないがんの1つです。原因がわかっているといことは、予防・対策ができるということです。我々獣医師も海外のガイドラインを参考にワクチンの接種回数や接種部位の見直しなど、注射部位肉腫の予防・対策に努めていますが、飼い主さんの協力は必要不可欠です。注射部位肉腫の発生率は低いため、過度に心配する必要はありませんが、飼い主さんが少し注意するだけで、早期発見、早期治療ができると思います(例えば、ワクチン接種後にしこりができないか気にかけておく、など)。




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