MRI検査の概要
近年、MRI検査という言葉を動物の医療でも耳にすることがあると思います。MRIは磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging)が本当の名前で、磁気共鳴現象を利用した画像診断法です。
…と言いましても、難しくてよく分からないですよね。
理論に関しては工学系の詳しいホームページに任せるとして、ここでは
- CTとの違いはなんなのか?
- MRIで何を見るのか?
についてお教えします。
まず、CTとの違いについてですがCTがレントゲンの延長線上にあり、X線という放射線の一種を利用して体の3D画像を得るのに対して、MRIは簡単に書くと、磁石の力を上手く利用して体の3D画像を得る方法になります。そのため、放射線被ばくは無いです。ただし、CTと比べ時間が長くかかるので緊急性の高い患者には使いにくいです。また、3D画像を得る方法が違うので、見る部位もCTとMRIで異なります。MRIによる3D画像の取得方法はCTと比べ、骨を透過する点で優れており、骨に囲まれた「神経・脳」を見ることに適しています。画像の見かたはデータの得方によって白黒が逆転するなど、難しい部分があるので担当の獣医師に任せてください。(どこがどうなっているのかは獣医師が責任をもって、飼い主の方に伝えます!)一方、骨を透過してしまうのでCTと比べ骨折などの診断には弱いと言えます。
MRI検査のまとめ
- MRIは磁石を利用した3D画像を得る方法である。
- 放射線被ばくは無いが、時間が長くかかる。
- 主に「脳・神経」を検査するのに用いる。
CTとMRIの違いは難しいですが、
- 原理が違うこと
- 目的とする部位も異なること
この2点はしっかり理解していていただきたいです。
【経歴】
北海道大学獣医学部卒、東京大学獣医外科研究室博士課程
米国ペンシルバニア大学 客員研究員
【所属学会・資格等】
Veterinary Cancer Society (獣医がん学会)
【得意分野】
腫瘍学、免疫学