会陰ヘルニア




会陰ヘルニアの概要

  • 直腸壁を支持し、腹腔との隔壁を形成する骨盤隔膜が破綻
 →骨盤腔内や腹腔内の内容物がヘルニア孔から皮下へと脱出

会陰ヘルニアの臨床徴候

  • 会陰部の腫脹(多くはこれ!)
  ※片側性にも両側性にも生じる
  • 排便障害
 →排便困難、便秘、しぶり、便失禁
  • 排尿障害
※基本的には会陰部の腫脹で来院するが、直腸や膀胱の逸脱の程度により症状が引き起こされる。
※膀胱の逸脱による排尿障害を呈している場合には、注意が必要!

会陰ヘルニアの診断

  • 犬→中高齢の未去勢雄に多い!(雌での発生は少ない) 猫→去勢雄で報告多い
  • 視診→会陰部の腫脹
  • 触診→腫脹部は一般的に軟らかい!
  ※腫瘍とは異なる触感が触知!逸脱した臓器が戻る感覚
  • 直腸検査→直腸周囲から肛門周囲の筋の菲薄化および孔が確認可能
  ※直検時は、ヘルニア孔のさらなる拡大を防ぐために慎重に!
  • レントゲン検査→直腸や膀胱、前立腺などの臓器が会陰部に突出。排便困難の場合は、糞便の貯留が認められることも。
  • 超音波検査→腹腔内臓器とヘルニア孔から脱出した臓器の確認
  • 血液検査→基本的には正常であるが、排尿障害の場合にはBUN, Creなどのチェック!

会陰ヘルニアの治療

基本的に外科療法が第一選択!内科療法はあくまで手術までの支持療法の位置づけ。
※内科療法には、下剤や浣腸、膀胱カテーテル留置などがある。

外科手術

  • 骨盤隔膜を構成する筋の整復により、ヘルニア孔を閉じる!
  最も伝統的な手術法は、
    ・外肛門括約筋ー肛門挙筋 and/or 尾骨筋
    ・外肛門括約筋ー内閉鎖筋
  の間に縫合糸を通して結紮するもの!
※しかし、本法のみでは再発のリスクが高く、再発を防ぐために以下のような様々な手術法が考案されている。
 ✓内閉鎖筋転移術
 ✓浅殿筋転移術
 ✓半腱様筋転移術
 ✓大腿筋膜移植術
  • 去勢+腹腔内臓器固定術が組み合わされることも多い!
  ・去勢→犬の会陰ヘルニア症例の多くが未去勢であり、前立腺肥大が併発していることも多い。再発予防のための意味もある(有効性は議論ある)
  ・結腸固定術・膀胱固定術→各臓器がヘルニア孔から脱出している場合に適応となる。腹壁と縫合糸、癒着させることで各臓器の再脱出を防ぐ目的。




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