腎臓病の早期診断のために ~SDMAを調べると何が分かる?~




慢性腎臓病とは?

腎臓は、おしっこをつくる機能をもち、おしっこによって体内の老廃物を体の外に排出する役割をもちます。

この腎臓が慢性的にダメージを受け、おしっこをつくる機能が低下する病気が慢性腎臓病です。

重度の慢性腎臓病になると、体内に様々な老廃物がたまり、様々な症状を示すようになります。

慢性腎臓病の怖いところは、病気が進行し続ける点にあります。

腎臓の機能が落ちることで、体内の老廃物がたまり、それによってさらに腎臓がダメージを受けて機能が低下するという負のサイクルがあるのです。

治療は、あくまで進行を遅くするものであり、腎臓の機能を回復することは現在の医療では難しいといわれています。

ヒト、イヌ、ネコにおいても腎臓病は、死因の上位に挙がっているのが現状です。

 

余談ですが、「人工透析」という言葉を聞いたことはありませんか?

これは腎臓病をもった人が、機能を失った腎臓の代わりに、人工的に体内の老廃物を外に出す治療です。

定期的に病院に通う必要があるため、日常生活に制限がかかる上に、お金もかかります。

また、腎臓の移植は、機能を失った腎臓を正常な機能をもつ腎臓と交換する手術になります。

腎臓の機能を評価するための検査?

獣医療における腎臓の機能を評価する血液検査項目には、BUN(血中尿素窒素)とCre(クレアチニン)の二つがあります。

慢性腎臓病は、主にCreの値によって診断することが腎臓病学会のガイドラインで定められています。

慢性的にCreの値が高値を示していれば、慢性腎臓病であると診断されます。

また、Creの値は腎臓の機能が低下するにつれて高い値を示すため、慢性腎臓病の進行を評価することができます。




新たな血液検査項目SDMAとは?

現状では、腎臓の機能を評価する最も一般的な検査項目はCreであるといえます。

しかし、実はCreは腎臓の機能が本来の1/4にならないと高値を示さないといわれています。

腎臓が半分くらい機能を失っても、それを見つけることができないのです。

早期の慢性腎臓病を発見することができないのです。

近年、SDMAという新たな血液検査項目が報告され、獣医療で話題となっています。

SDMAは、IDEXXという検査会社が測定しており、SDMAに関する説明はIDEXXのホームページにも記載されています。

(参考)http://www.idexx.co.jp/smallanimal/reference-laboratories/sdma-resources.html

SDMAが注目されている理由は、腎臓の機能の低下をより早期にみつけることができるといわれているからです。

具体的には、腎臓の機能が40%程度低下するとSDMAの値は上昇するといわれています。

Creの場合は、腎臓の機能が75%程度低下すると上昇するため、35%も差があります。

慢性腎臓病が進行性の病気であることから、早期に腎臓の機能を評価できるSDMAは有用であると考えられています。

SDMAの今後の展望

将来的には、獣医療における腎臓機能の検査には、BUN, Cre, SDMAの3項目となるかもしれません。

もしくは、SDMAのみでも良いとなるかもしれません。

それほど、今の獣医療ではSDMAがホットな話題となっています。

しかし、SDMAが検査できるようになってからまだ年数があまり経っていないため、SDMAに関する知見がまだ少ないのが現状です。

具体的には、

・SDMAが高値を示したらすぐに治療を始めた方が良いのか

・本当にSDMAがCreよりも有用な検査なのか

・他の病気でSDMAが上がることはないのか

・SDMAの値はどこからが高値と判断すればよいのか

などです。

現在、大学病院をはじめ、様々な動物病院がデータを集め、これらの疑問に対する答えを導こうとしています。

数年後には、SDMAに関する知見が十分に集まるでしょう。

飼い主さんの中には、自分のわんちゃんやねこちゃんのSDMAを検査してもらった方もいるかもしれません。

SDMAが高いといわれたことがある方もいるかもしれません。

しかし、それがどれだけの意味をもつかは、現状では獣医師でもわからないのが現状です。

Creが高いのであれば、問題があると判断できますし、治療をすべきだと思います。

一方、Creが正常でSDMAが高い場合には、治療をすべきかどうかは結論が出ていません。

少なくとも、これまで何十年もそのような状態で治療は行われてきませんでした。

SDMAが高値であっても過度に心配しすぎない方がよいでしょう。

間違っても自己判断で腎臓病用のごはんにしないでください。

慢性腎臓病は、基本的に腎臓病用のごはんをあげることで進行を遅れさせますが、これは療法食に分類され総合栄養食とは異なります。

嗜好性も劣りますし、栄養の組成も異なるため、獣医師の判断の上であげるようにしてください。

SDMAが高値でCreが正常であった場合には、心配しすぎず定期的な血液検査を行うことで様子をみるのが良いと思います。

 




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